俳句スクエア集・平成 27年 10月号
通 巻 106 号
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菊膾三つ指死語となりにけり 朝吹英和
枯露柿や吾に故郷なき憂ひ
ひとしきり枝豆を焼く話かな
大出水逃れしノアの日曜日 大津留直
菊を焚くその残り香の濃き薄き
歩行器の歩歩の祈りや秋高し
目ぢからの及ぶ高さの赤蜻蛉 内藤倫子
潮満ちて消ゆる参道秋夕焼
高らかに音して浅し秋の川
さるすべり散るや空行く至急便 服部一彦
九月雨杯を重ねる鳶の者
水脈追うて闇になりたり秋の蝶
読経に白菊の眼のひらきけり 松本龍子
渋柿の舌出す貌の伸びるかな
柿の種ころがりゆきて法隆寺
朝顔のしぼめる藍に風の立つ 加藤直克
落ち残る渋柿空に吊される
隠り口の風に誘われ墓参り
電線とアンテナの空小鳥くる 十河智
秋黴雨のどじまん聴く日曜日
秋霖のもう三日にもなりにけり
雲降りて樽前山や秋深し 今栄子
山間の温泉街や柿の色
津波来て烏の群れの天高し
穴まどひ男結びの荷がとどく 石母田星人
空間のゆがみはじめる月明り
いつせいに流星をさす糶の指
空撮の気配に逃げる蜻蛉かな 菊池宇鷹
寝た振りの居留守で忍ぶ木槿かな
歩くにはそぐわぬ靴や蓮の実
ゴーヤーの黄を喰む鳥のここちかな 石田桃江
蹲踞して面一本や秋の空
秋祭り少年剣士の声通る
削られる昼の時間と芋虫と 生田亜々子
触れたくて触れられなくて曼珠沙華
秋雨に濡れて新聞紙の重さ
記念日の無言電話に秋の声 真矢ひろみ
出目金を飼う少年の眉太し
宇宙よりのほそき光を蜘蛛曳けり
秋の草食べる土ごとの様な山羊 石川順一
餌を欲る山羊に秋日の濃かりけり
とんぼうの地面に着地の長かりき
魚跳ねる色無き風の直中へ 今井みさを
天城嶺へ小首傾げる稲穂かな
神の樹に羽休ませる秋の蟬
夕焼けの祈り薫れる龍山寺 毬月
マンションのすきま風より秋の神
楠に尋ねる時の秋めいて
屋根が軋む月光が多すぎる 加藤昌一郎
生きているものありて窓曇りけり
一番寒そうなフランスパン選ぶ
風に揺れ山ぼうしの実風の道 片山和恵
岡城や城なき跡の秋の風
火の国の噴火未だに豊の秋
桐の実を振ればしあはせ聞ゆるか 干野風来子
法医学教室の午後くるみ落つ
マロニエの実の置き去りに医者の襟
今逢はねばなほ遠くなる秋日傘 松尾紘子
草は穂に薬師寺跡に佇ちて寂
秋蝉や刀自の守りし屋敷神
竜胆の真白き部屋に無言なり 於保淳子
原始の森や色なき風に耳澄ます
空澄みて熟れし林檎や友集う
へばり付く斜面の家や蕎麦の花 堀川珠雪
立ち話割り込むやうに赤蜻蛉
赤とんぼゴールの裏の攻防戦
吾が佇てばうねり初めをり蘆の秋 桑本栄太郎
鬼灯や祇園の路地の石だたみ
ずず玉や鯉の寄り来る池のふち
矢はすでに的を射貫けり秋の風 五島高資
森の音の澄むや脈打つアンタレス
昼の野に星の降るなり岩煙草
句稿到着順
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締切は、平成27年9月20日でしたが、まだ投句されていない同人の方は、
10月上旬までに投句して頂けましたら逐次掲載致します。
あるいは、投句したにもかかわらず未掲載の場合は、恐縮ですが、編集部宛
へご再投句をお願い致します。
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次回、「俳句スクエア集」平成27年11月号の締切は、平成27年10月20日です。
同人の方は、3句（雑詠・既出句可）以上を、編集部宛
に「11月号投句」と
明記の上、ご投句下さい。
新規に参加ご希望の方は、まず「俳句スクエア」同人へご参加下さい。
編集部宛 に、氏名（俳号可）、住所（都道府県）、所属結社（あれば）を明記の上、
同人参加希望と題してお申し込み下さい。
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Copyright
(C) Takatoshi Gotoh
1998.3.1