俳句スクエア集・平成 24 年 7 月号

通 巻 100 号



    夏の潮トランペットの蜂起かな        朝吹 英和
    神立ちや孤影色濃きポセイドン
    それぞれに歩む道あり雲の峰 ☆


    大砂丘に肩まで埋め香水壜          服部 一彦
    土饅頭なにも宿さず夏蕨 ☆
    神鶏の飛ぶ気配なし樟若葉


    にんげんの淋しさけふは豆御飯        鈴木 浮葉
    誰とゐてもほんとはひとり芥子の赤 ☆
    金雀枝や夢の中にも黄金(きん)の蝶


    運ばるる歔欷を見てゐる春の蟇        石母田星人
    菜種梅雨惑星の血の濃くなりぬ ☆
    白犀を炯眼の蝶すりぬけて


    身の内の愛しさ増せり蛍の夜         小島 文香
    幼子の無垢の手を振り合歓の花 ☆
    クレマチス縺れてもまた隔て無き


    ゆくりなく卵を生めり雲の峰         大津留 直
    葉脈の水音たどるかたつむり ☆
    牧神と見紛ふまでに五月晴


    捩花のねじれのままに登る虫         生田亜々子
    ゆく船の跡輝いて梅雨晴間
    魂の混ざっておりし蛍かな ☆


    梅雨曇鴉の横で雀跳ね            石川 順一
    父の日の二日前行く焼肉屋 ☆
    玉葱の濃き紫が誤解させ


    半夏生真ん中にゐる月ひとつ         松本 龍子
    手花火の落した花に星ともる
    みちおほち線香花火に見えてをり ☆


    金環食リング重ねる祈りかな         毬 月
    薫風の回りだしたる私かな ☆
    星祭短冊揺れる想ひかな


    二人ではこの世は淋し六地蔵 ☆       加藤昌一郎
    見残した夢に羽蟻が群れている
    地祇として芋虫登る筑波かな


    金色の糸打ち返す夏の潮           加藤 直克
    時満つる静かの海の月見草
    七変化して裏庭の海の色 ☆


    ビ-ル乾すきょう一日を干しにけり ☆    石田 桃江
    泰山木観音菩薩咲きにけり
    水鏡雲流れゆく代掻き後


    朝顔の花を這ひ出んとして目覚む       五島 高資
    鑑真の衣波打つ西日かな
    夕星や薄墨桜葉を結ぶ


   原則として句稿到着順。  ☆は、五島高資推薦句。


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