夏めくや経木の墨の香り立つ 朝吹 英和
花合歓や水に沈みし夜想曲 ☆
粒立ちのよろしきピアノ五月来る
糠星の下に菜の花児は肥る ☆ 服部 一彦
黄泉平坂遁れ出て来し翡翠は
わが前は朧に佇てる影法師
たぎつ瀬のデクレッシェンド余花残花 大津留 直
烏瓜コヲロコヲロと陽を反す ☆
吊橋のかそか揺らぎて花筏
凛として雑木林なる紅椿 小島 文香
大らかに鳥語聴きたり春の山
列をなすカバンはにかむ入学児 ☆
一編の小説に似し句や遅桜 鈴木 浮葉
偉さうなことはいはない桜草
初蝶のあざらかな黄やホーム越ゆ ☆
天平の水煙からあかがねの蝶 加藤昌一郎
人の世に顔向け涅槃し賜へり ☆
青き踏む三十三人と観世音
花の雨血汐の中に降りてくる 松本 龍子
犬ふぐり消えてゆきたる海の色
黒揚羽空は沸騰しつつあり ☆
ウィスキー買ひに出掛けて春の宵 石川 順一
午後二時に春雨の音始まれり
花韮は鉢と地面に分かれ咲く ☆
大勢に掻き残された浅蜊かな 生田亜々子
木苺の花一面に咲き故郷
最初から幸せであるオキザリス ☆
散りはてて桜となりし桜かな 加藤 直克
つぶやきがささやきとなる芽吹きかな ☆
鉄橋の音遠くする土手桜
肉食の膝にたたまれ春の闇 ☆ 石母田星人
朧夜のくちびるを恋ふ瓶の口
風紋の始まつてゐる目借時
いそいそと動き出したる春の風 石田 桃江
あっぱれやトンネルを抜け山芽吹く
今生のあといくたびのさくらかな ☆
花弁の雨に色付く会話かな ☆ 毬 月
小手毬や微笑む欠伸男かな
夢心地夜桜号の到着す
雨およそわたつみに降る鑑真忌 五島 高資
雲生れて消えゆく棕櫚の日曜日
まなうらにこの世の終わる夕焼かな
原則として句稿到着順。 ☆は、五島高資推薦句。
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