俳句スクエア集・平成 24 年 3 月号

通 巻 9 6 号



    涙雨春まだ遠き東慶寺            朝吹 英和
    月朧木鶏と和す心かな ☆
    アリバイを知るひととゐる雛の夜


    北千住迷へば寒月ルナ・ロッサ        服部 一彦
    冬麗や鳩来て頁繰り給ふ
    寒烏二羽並びゐて何もせず ☆


    佳き曲線見るたびホーホケキョと思う     加藤昌一郎
    頭押す蝶押し返す結跏趺坐 ☆
    式神に乗られ鞦韆芽吹きけり


    すずしろの土押しのける太さかな       加藤 直克
    紅薔薇のまぶたの外の銀世界
    指間から蝶の舞い立つメールかな ☆


    鶴唳や傷つきやすき時間軸 ☆        石母田星人
    冬月や押しよせてくる馬の音
    寒鯉は黄泉の彫師となりにゆく


    白梅の喪服は空の中にある ☆        松本 龍子
    眼底に白梅の白沈みけり
    真つ白な恋閉じこめてゐる花粉症


    鞦韆や転ぶことなど恐れては         生田亜々子
    たましいは水洗い不可雨水かな
    正直の過ぎて沈丁花の匂う ☆


    夜の梅脳内地図を書き換へる ☆       堺谷 真人
    初蝶にアルゴリズムのやうなもの
    父母未生以前のことを春の月


    一斉に咲かぬ水仙窓の外           石川 順一
    手に取れば冬の林檎のありどころ ☆
    料峭やプリウスを追いスーパーへ


    班消え連山黒くうね             大津留 直
    車椅子の行きつ戻りつ花の雨 ☆
    開帳の合図にはらり木の芽雨


    ゲイ映画みて歳晩の商店街 ☆        鈴木 浮葉
    後味の悪きミステリ鼬罠
    夕焼けもほのか優しき春隣


    目にとめて白梅の香の近づけり        石田 桃江
    切干や母とつながる電話口 ☆
    畑に居る四温日和にさそわれて


    あの角をこんな風にと冬帽子         毬 月
    はうれんそうほぐれる水に宿る月
    雪蛍時計を止める二人かな ☆


    陸沈やシリウスへアラハバキの灯       五島 高資
    悪人の目にシリウスの涙かな
    東天を支えて松の緑立つ


   原則として句稿到着順。  ☆は、五島高資推薦句。


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