俳句スクエア集・平成 23 年 12 月号

通 巻 9 3 号



    残菊の垣に歩行器沿はせ行く        大津留 直
    鬼の眼の虚(うろ)にさやけき秋の風 ☆
    鈴掛の落葉一枚王の面


    銀のサロメの棺月凍る           朝吹 英和
    色事を弓手に隠し木賊刈る
    木琴を叩きのめして猪走る ☆


    かまどうまいのちにふれる髯の先      加藤 直克
    一音の消えゆくはての冬銀河 ☆
    数珠玉を鳴らして京(けい)に及ばざる


    肩車重ね銀河へ行くサーカス ☆      加藤昌一郎
    裏富士のせいか秋意のひたひたと
    桃割く時怖くないのか妻よ


    伯父捜す遺体安置所冴返る         石母田星人
    天体を溢れだしたる蝶の骨
    死に至る柱時計を出る西日 ☆


    霜月やこんなに太る綿ぼこり        生田亜々子
    一言に罪はなけれど冬灯
    携帯を構えられては冬薔薇 ☆


    月光を噴き上げている鞍馬杉 ☆      松本 龍子
    柩舟色なき風にめぐりあふ
    一枚の鏡のなかに風の色


    玄関の外は冬の蚊の異空          石川 順一
    仕舞湯を冬の蚊と居てほうけたり ☆
    琉球の話に鶴が飛び立てり


    蝶一頭御嶽(うたき)の杜に冬近し      服部 一彦
    箸置きに拾ひし珊瑚冬に入る ☆
    鸇渡る風兆すかな宮古島


    霧深く鞍馬に落つる時間かな ☆      毬 月
    菊の花毘沙門天に照らされし
    霧深く降魔扇の風騒ぐ


    秋桜や娘の子育てに笑み戻る        石田 桃江
    竿さきの柿のまうえの真澄の空
    歩み来て黄落を踏みしめており ☆


    小便の音や三日月はるかなり        五島 高資
    うなじから紅葉こぼれて星の夜
    しわぶきの森のあたりを年ゆけり


   原則として句稿到着順。  ☆は、五島高資推薦句。


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