俳句スクエア集・平成 23 年 11 月号

通 巻 9 2 号



    秋冷や水晶山に祖霊在す ☆        朝吹 英和
    金色の音叉に秋の虹立ちぬ
    我在りと織目抜けたる草雲雀


    戦後なき戦の中の曼珠沙華         服部 一彦
    円仁帰朝舳先の分くる秋の潮
    惑星に届く階梯いちじく裂け ☆


    一振りの青光りする秋刀魚燃ゆ ☆     加藤 直克
    万華鏡まわし紅葉に溺れけり
    星よりもとぼしき虫の声ひろう


    カルデラの太古の岩の蔦紅葉        大津留 直
    地底湖の軋みを内に山眠る ☆
    イゾルデの置きし剣の葉鶏頭


    山襞に鬼らしきもの秋闌ける        真矢ひろみ
    寄り道をして虫の音に沈みゐる ☆
    佳きひとの病む十月の真澄かな


    骸なく声のみ細る虫の闇 ☆        生田亜々子
    メビウスの輪の果てはなに星月夜
    裏年の柿の気楽な立ち姿


    秋思もて解毒できない秋思かな ☆     石川 順一
    朝も夕もカレー鰯雲の空
    あさぼらけ超特急の夜学果つ


    案山子たちみな白面ですれ違う       松本 龍子
    秋没日いきなり月を吐きだしぬ
    冬紅葉水なき空を染めつくす ☆


    秋の蝶回す袋の軽さかな ☆        毬 月
    裏木戸を確かめ二百十日かな
    故人より届く一行菊の風


    仏体でありし木片水澄めり         石母田星人
    露の玉聴けるはずなき周波数
    柿に柿映り青空よく回る ☆


    菊咲けり津波に裏返されしままの坂 ☆   加藤昌一郎
    天上大風キリンの首が回り出す
    桃から出た男集まりジャンボリー


    空耳の極みに曼珠沙華咲けり        五島 高資
    コスモスのゆれる現在過去未来
    夕空に点りて柿のしたたらず



   原則として句稿到着順。  ☆は、五島高資推薦句。


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