俳句スクエア集・平成 23 年 10 月号

通 巻 9 1 号



    渾身の槍の一投秋立てり          朝吹 英和
    空漠の時空縁取る銀木犀 ☆
    鎮魂歌十月の海透きとほる


    泉来て歪みし顔に口づけす ☆       服部 一彦
    老年も青年も群れ虫の闇
    幾星霜秋刀魚焼きけり渡来人


    夕映えにことさら白き稲の海        加藤 直克
    満天に帰る家あり虫時雨
    かなしみののこる隈なき秋の空 ☆


    名月や隣に寝息する吾が子 ☆       堀川裕貴子
    秋風や小鳥の集う庭の先
    葉鶏頭小学生の背を越す


    白桃に流れこみたる月の水         松本 龍子
    水澄みて沈黙の水満ちてくる
    一本の煙と灰の狐花 ☆


    水澄みてわが歩行器をかるくする ☆    大津留 直
    神々の干せる布団の涅槃佛
    残暑熄むその唐突の骨に沁む


    夜の秋黄金律を語る犀           石母田星人
    天体を手懐けてゐる猫じやらし
    百合の花成層圏を歩みくる ☆


    あいさつ通り誰もいなくて夜半の秋     生田亜々子
    英語にて指示される犬大花野
    誉められるゆえのないこと二十日月 ☆


    蜉蝣や十万億土をひろびろと        真矢ひろみ
    吊ればこそ秋簾死ねばこそ人 ☆
    殺生の上の窓から夕焼けて


    盆の月東寺の屋根に腰降ろす ☆      毬 月
    駅一つ今宵は二杯ちちろ虫
    蚊の名残り力不足の右手かな


    パソコンの画面そのまま夜なべかな     石川 順一
    秋の蚊に刺され二の腕裏返す
    重陽や母は皮膚科へ行きにけり ☆


    野襤褸菊に仏眼で見返され         加藤昌一郎
    茄子の馬に乗りはるばると冥王星
    宵闇の入り口としてある鳥居 ☆


    銭湯のひとつ消えたる銀河かな       五島 高資
    信号を待つ虫の音のなかにあり
    くれなゐの0(ゼロ)を重ねて曼珠沙華



   原則として句稿到着順。  ☆は、五島高資推薦句。


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