新涼や回転木馬海に入る ☆ 朝吹 英和
南中の射手座遥かに柚子香る
湖を走るピッコロ今朝の秋
秋の虹ほのかに聞けば花の精 服部 一彦
光ゐる蝶の行く手や墓参り ☆
象連れた人が見てゐる林檎狩
ベラの飛ぶ被災の空や著莪の花 加藤 直克
炎天下立ちこめるバッソ・コンティヌオ
向日葵やミットにずしり剛速球 ☆
送り火の風は平らとなりにけり ☆ 毬 月
爪を切る音響き行く盆の暮れ
遠花火声は闇夜に戻り散る
空箱の中の空箱原爆忌 松本 龍子
赤蜻蛉赤の消えゆく羽の音 ☆
暗闇に高く手を振る原爆忌
噴水を色なき風が燿かす 加藤昌一郎
鉤も阿弥竿も阿弥なり雁渡る ☆
溜息をしながら秋の蚊がとまる
陽炎を解けば咆哮おびただし ☆ 石母田星人
方舟に乗らむと仔馬立上る
歪みたる地球を映す椿の葉
頭垂れ座るベンチも蝉時雨 晴 真
あても無く歩みて見上ぐ夏の月
西瓜喰ふ大事なことを言はず喰ふ
たくさんの氷でグラス埋め尽くす 石川 順一
溶けてなお響く氷と氷かな
新涼や抜いて鼻毛の真っ白なる
人々の口開きおり揚花火 生田亜々子
吹鳴の近く遠くに盆踊り
蜩や振り返らずに別れたり ☆
走馬灯息吐く間さへ待たざりき 大津留 直
どこまでも不毛のゾーン寒昴
スサノヲの笑ひさざめく花南瓜 ☆
髪洗う闇より生れる地震かな 五島 高資
天使魚と目が合う夜の地震かな
補陀落へついに流灯見失う
原則として句稿到着順。 ☆は、五島高資推薦句。
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