俳句スクエア集・平成 23 年 9 月号

通 巻 9 0 号



    新涼や回転木馬海に入る ☆        朝吹 英和
    南中の射手座遥かに柚子香る
    湖を走るピッコロ今朝の秋


    秋の虹ほのかに聞けば花の精        服部 一彦
    光ゐる蝶の行く手や墓参り ☆
    象連れた人が見てゐる林檎狩


    ベラの飛ぶ被災の空や著莪の花      加藤 直克
    炎天下立ちこめるバッソ・コンティヌオ
    向日葵やミットにずしり剛速球 ☆


    送り火の風は平らとなりにけり ☆     毬 月
    爪を切る音響き行く盆の暮れ
    遠花火声は闇夜に戻り散る


    空箱の中の空箱原爆忌           松本 龍子
    赤蜻蛉赤の消えゆく羽の音 ☆
    暗闇に高く手を振る原爆忌


    噴水を色なき風が燿かす          加藤昌一郎
    鉤も阿弥竿も阿弥なり雁渡る ☆
    溜息をしながら秋の蚊がとまる


    陽炎を解けば咆哮おびただし ☆      石母田星人
    方舟に乗らむと仔馬立上る
    歪みたる地球を映す椿の葉


    頭垂れ座るベンチも蝉時雨         晴 真
    あても無く歩みて見上ぐ夏の月
    西瓜喰ふ大事なことを言はず喰ふ


    たくさんの氷でグラス埋め尽くす       石川 順一
    溶けてなお響く氷と氷かな
    新涼や抜いて鼻毛の真っ白なる


    人々の口開きおり揚花火          生田亜々子
    吹鳴の近く遠くに盆踊り
    蜩や振り返らずに別れたり ☆


    走馬灯息吐く間さへ待たざりき       大津留 直
    どこまでも不毛のゾーン寒昴
    スサノヲの笑ひさざめく花南瓜 ☆


     髪洗う闇より生れる地震かな        五島 高資
     天使魚と目が合う夜の地震かな
     補陀落へついに流灯見失う



   原則として句稿到着順。  ☆は、五島高資推薦句。


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