俳句スクエア集・平成 23 年 8 月号

通 巻 8 9 号



    部屋を出る時の猫鳴き声の蚊よ       石川 順一
    晩春の滝見て父とすれ違ふ ☆
    急ぐ程落花が靴の底に付く


    短夜のとば口で買う切符かな ☆      加藤 直克
    夢の色すこし薄めて月見草
    でで虫の濡れている間の寂光土


    蛍籠女性の魂を匿へり           朝吹 英和
    円陣を外れし猫や夜の秋
    向日葵や水平線の剛気見ゆ ☆


    でてむしに尋ねてをりし今朝の空      毬 月
    夏痩せに一人染みいる京扇子
    端居して水音届くところかな ☆


    火の匂ひ海に流るる走馬燈 ☆       松本 龍子
    不揃いの風にふかれてさくらんぼ
    あめんぼう水平線になる途中


    つなみ去る貝の涙を溢れしめ ☆      服部 一彦
    土饅頭の円を極めて夏蕨
    母の日の哀しきならひバラ寿司扇ぐ


    はしなくも置かれし薔薇の初蕾       大津留 直
    薔薇折りてムーサの蕾託さるる
    芋虫の噛みてレタスの青さ増す ☆


    かみなりの音聞きながら白ガウン      淡 雪
    応援の少女梅漬むすび二個 ☆
    ビートルが好きという人夏ゴール


    爪立の少女忽ち立葵            石母田 星人
    複眼の奥に晩夏の海がある ☆
    白芙蓉宇宙の呼吸より還る


    恍惚と虚脱ウロボロス日々新た       加藤昌一郎
    天に帰るカミナリがいるエレベーター
    猫町の地図買う猫町の夜店 ☆


    魂を叫ばせてみる夏の海          生田亜々子
    折り返しまだ生きるらし油虫
    夏空の隅に居場所を見つけたり ☆


    鎮魂の海に浮かせて西日とす ☆      真矢ひろみ
    夏の月奥処なるもの美しき
    朝採れの〆赤海鞘を迎え火に


    端居してこの国のこと我のこと ☆      菜月子
    不機嫌な夏アザミ押し黙る友
    分け入ってレポートの山蝉時雨


     渋滞の鱗となりて五月雨るる        五島 高資
     梅雨空へ陸続テールランプかな
     たばしりて離陸するかも青田波



   鑑賞文 大津留直・加藤直克・松本龍子・朝吹英和

   原則として句稿到着順。  ☆は、五島高資推薦句。


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