俳句スクエア集・平成22年4・5月号

通 巻 79・80号



 ☆ 中学生なにか企む春鞄        服部一彦
   自動扉閉じ束の間の春の宵
   塩の道二月の山を越えにけり

 ☆ 花烏賊の立場に思ひ致しけり        朝吹英和
   春愁や獏に食はれし夢の縁
   恋猫や疾に破れし二元論

 ☆ 揚雲雀空となりゆく命かな        松本龍子
   天空の墨堕ちてくる雲雀かな
   卒業式ふるえつづける音符かな

 ☆ 陽炎える空が降りてくる背中        加藤直克
   淡雪の生まれて消える轍かな
   頬張りてほのかに温き雛あられ

 ☆ 冬麗の色なき色の匂ひかな        真矢ひろみ
   冬の潮音なく引いてゆきにけり
   牡丹雪ほのぼの耄けてみたいもの

 ☆ 火縄銃燻りつづく花の山        津山 類
   戸袋に隠してをきぬ告天子
   川砂に骨を展げる春愁

 ☆ 春泥に堕ちて隕石悦びぬ        加藤昌一郎
   藤垂れて地獄の話聞きたがる
   琴を待つ李白はすでに朧なる

 ☆ 天極のねぢれ解かむと梅白し        石母田星人
   薄氷と首長竜の深空かな
   雛の日の蒼穹を蜜浸しゆく

 ☆ 底無しの器鳴らせり春の雨        更 紗
   アネモネや受胎告知の大天使
   遠吠えのすこし泣声春の月

 ☆ 洗ひたるはうれん草の水しづか        毬 月
   春の嘘スクランブルに生まれけり
   薄氷や叱られさうな日記かな

   霙るるや昭和は遠くなりにけり        五島高資
   白木蓮の咲くあたりから夜空かな
   薬師寺の址に孟宗竹茂る


   都合により4月号と5月号は合併号としました。関係各位にはご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。

   原則として句稿到着順。原句のまま。☆ 五島高資推薦句。


   俳句スクエア集では、皆さんが投稿された俳句を月ごとに掲載致します。

   投稿規定 :  資格は特になし。
         〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
         平成22年6月号の〆切は平成22年5月20日。
         投句数は、一人5句まで。
         掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
         次回の掲載は、平成22年4月1日頃を予定。
         投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
         注・上記以外のアドレスへの投稿は不可。
         なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。

         また、俳句スクエア集に掲載された作品は、
         毎年度末刊行予定の年刊『俳句スクエア集』に
         入集される予定です。
         なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
         俳句スクエア集に掲載された作品とします。

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