俳句スクエア集・平成22年3月号

通 巻 78 号



 ☆ 二の腕の記憶辿りし朧月        朝吹英和
   荊冠の一光点や揚雲雀
   鈴懸の花に詩魂の雫かな

 ☆ 雪解けの水となりつつ水走る        松本龍子
   白い月すこし足らぬと猫の恋
   恋猫の恋のしみたる欠伸かな

 ☆ 雪しづく空の重さを最後まで        服部一彦
   遠い日も近い日も消し雪一夜
   二月尽鯨が森へ戻る頃

 ☆ 黒松の刺さったままの冬日かな        加藤直克
   落日や人に戻れぬ小白鳥
   春浅き日光菩薩の眉幽か

 ☆ 補陀落の海に干し物梅見かな        津山 類
   彌生土器へら字のへへへの春の海
   この朝に泣き初めましぬ赤い梅

 ☆ 床の間に置かれある寒怒濤かな        石母田星人
   初日射す硯海に犀現るる
   わたくしと東風の境の思想かな

 ☆ 糠みその天地を返し梅の花        更 紗
   七回忌星座は春にかたぶきぬ
   きさらぎや置屋の隅に猫太り

 ☆ 春宵の居酒屋に入る宇宙塵        加藤昌一郎
   くねくねと曲がり阿弥陀が青き踏む
   六道の辻逃げられた風船に遇う

 ☆ 同じ刻しばらく蝶の水溜まり        毬 月
   観覧車歪んでをりし春蚊とぶ
   日の暮れの鍵穴に問ふ啄木忌

 ☆ 喉奥を見せて笑う子春隣り        笑 止
   削られて山細々と笑いけり
   一輌車花菜畑を探るごと

 ☆ 東風受けて未来を担う風車かな        石田桃江
   かんらんの月の光と咲きにけり
   すくと立つ冠水あとの青田なる

   びんろうもびろうもやがて冬の星        五島高資
   日と月と室の八島の雪けむり
   雨脚の音にのみ聞く時雨かな


   原則として句稿到着順。原句のまま。☆ 五島高資推薦句。


   俳句スクエア集では、皆さんが投稿された俳句を月ごとに掲載致します。

   投稿規定 :  資格は特になし。
         〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
         平成22年3月号の〆切は平成22年3月20日。
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         掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
         次回の掲載は、平成22年4月1日頃を予定。
         投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
         注・上記以外のアドレスへの投稿は不可。
         なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。

         また、俳句スクエア集に掲載された作品は、
         毎年度末刊行予定の年刊『俳句スクエア集』に
         入集される予定です。
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