おもちゃ箱蓋なき秋の雲となる 津山 類
落穂なし櫓も漕がざりし雁のこゑ
仏頭にみずうみのあり月の宿
秋空が落ちてくる落ちてくる 藤代真路
渋谷あたりの紅葉発熱す
東京の谷に青空一葉落つ
流星を集める遺失物係 山戸則江
大学の金木犀は空に近い
鬼の子の嵐が丘に揺れており
バイロンの劇詩紐解く星月夜 朝吹英和
西風に晒す奉書紙柚子香る
既視感の揺れ収まらず後の月
書きかけの手紙そのまま秋に入る 作田由加子
鶸の来て不意に飛び立つ風であり
秋の水風波立ちて止らざる
みちのくの旅の終りの十三夜 邦 生
パレツトに色なき漆紅葉かな
朱の塔を遠見嵯峨野の秋桜
虫の音や夜更けて高し摩天楼 露 壜
月影のなかに幽くなりにけり
秋の暮動かぬ針の時刻かな
谷崎忌白き渚へ泳ぎきる 蓼
蠍座の貼りついてゐる白露かな
芒原鳥獣戯画の笑ふこゑ
卓上の書きかけの文小鳥来る 遊
椎の実てふ郷愁のかけらポケットに
ふるさとは人みな無口曼珠沙華
その後の空を尋ねる秋刀魚かな 毬 月
来たる月独りとなりし桃青忌
秋の旅昨日と違う拾いもの
凋落も曙の色紅葉散る 鈴木浮葉
妻よりも愛人やつれて烏瓜
通草種舌でしごきぬ木曾の旅
全力を尽くした午後の鰯雲 菜月子
月いでる頃まで少女と立ちばなし
秋涼し早く目覚めて読むメール
秋風の川面渡りて天守閣 斎田 茂
身に入むや城に大名石高表
一陣の風は残暑を緩めけり
神鶏のかたまつてゐる暁星祭 斎田礼子
盆唄を山がかへして踊り下駄
畑のもの双手に提げて生御魂
蝉茸や章動生るる北の崖 石母田星人
石榴笑む空へ膝蓋腱反射
幻想の一騎のよぎる檸檬の香
秋雨や昭和に買いし重き傘 真矢ひろみ
廃屋のリビングにゐる秋の蝶
十三夜いまさら不確定性原理など
脚痺れ遠くに燃える青不動 加藤昌一郎
曼殊沙華道々吐きて子規行けり
集まって象編み上げる文化の日
秋の音に一斉に開く鯉の口 小林 檀
白菊に美貌の光乗りにけり
秋日和皿に入りし寿老人
電話から突き抜けてくる谷紅葉 猿 人
瘡蓋に残っておりし運動会
秋の声星を抱きつつ眠ろうか
風の新たな序曲運び来る 伊藤華将
かが心空を駆ゆく夜這星
かりがねや長距離走の男子達
誕生日祝って星の別れとし 花 夜
サヒィニアやマイナスイオントルネード!
触れていく季節盛りの栗の色
林檎一個置けば光の降ることよ たかと
夜の卓林檎光を放ちけり
和鋏の小鈴が赤も十三夜
影法師ゆらす散歩や秋の暮れ 石田桃江
枝を切る音秋天に響くなり
鉢植えを取り込む縁の小六月
鶏頭の赤に重ぬる夜陰かな 更 紗
球根を植える露けきものも混ぜ
鬣の靡くほうへと芒原
何億年旅して現在に切手貼る 服部一彦
月の船痴漢注意の札が立つ
唐辛子と三度いふても聞こえぬ婆
那須野から高天原へ時雨れたり 五島高資
秋はいま黄金と流る衣川
脈拍は指に峠は霧にあり
原則として句稿到着順。原句のまま。
俳句スクエア集では、皆さんが投稿された俳句を月ごとに掲載致します。
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
平成17年12月号への〆切は平成17年11月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
次回の掲載は、平成17年11月末日頃を予定。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
注・上記以外のアドレスへの投稿は不可。
なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、
毎年度末刊行予定の年刊『俳句スクエア集』に
入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
俳句スクエア集に掲載された作品とします。
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