銀河系の隅で電車待つ蟻群れり 吾 狼
知らぬまに括られ僕ら高層の百合
人逝きて青野に蝶の出ずる部位
秋涼のたてがみたつる子馬かな 露 壜
ひぐらしの切れ字のなかのひとりかな
鰯雲追ふ海豚雲ありにけり
望月や問ふて深まるきのふけふ 毬 月
収まらぬ喧嘩軒越え秋雨なり
餌よりも気になる秋よ動き出す
白日は逃れられずに原爆忌 斎田 茂
今同じ花を見つめて古代蓮
炎帝に息をひそめて戦国記
屋根石の少しずれをり夏の月 斎田 礼子
凌霄花咲くも落つるも紅ふやす
吐く息を煽ぎ秋暑の戦争展
赤まんま詠ふ我が心の屈折 広瀬 洋子
山荘を閉ぢてこの夏封印す
秋夕焼雲も家路をたどるらし
名号の巌の下の清水かな 服部一彦
水銀のうすうす流る秋津軽
緑林を辞めし漢ら秋仕舞
大仏のひとさし指を月に折る 猿 人
夕月夜器となりて江に浮く
月光や夜明けの森の非常口
稲妻と稲妻の間で旅終る 山戸則江
長き夜は貨物列車に繋がりぬ
居留地を三歩はみ出す竈馬
棒で撲てば花野は千の鈴鳴らす 加藤昌一郎
月を呼ぶ手の鳴るほうが花野にて
この冬瓜の中は妄語か真言か
名月へ向けてジャンボ機飛び発ちぬ 伊藤華将
病院の待合室に熱帯魚
秋の雲うしろは真青一色ぞ
エノラゲイペットボトルに沈みたる 藤代真路
秋来る車輪が跡を落としてく
複雑な彼を残して月が泣く
胎動は翅より薄く星月夜 石母田星人
掌紋の放つ惑星ねこじやらし
白桃を置く褶曲の天辺に
露の世に小刀当てて花折れリ 更 紗
吹き下ろす夕に青散る花野かな
藍染めの色なき風に染まりけり
一翰を届けにゆくや曼珠沙華 原 清水
夕月このいのちのごときもの泛かぶ
喪ひの列につく蟻炎天下
力尽くようにも見えず秋の蝶 菜月子
月白のテラスで友と書を語る
鹿の子に道をゆずられ夕散歩
シャラポワの吠える拳は椿の実 石田桃江
吾亦紅目にとまりたること願う
秋の蝶山のかなたへゆらぎ消ゆ
ひとやまをじわーんと蝉は無音なり 鈴木浮葉
蜘蛛の子の糸一条に巣立つ朝
足痛む人生無用の木の実雨
たっぷりと水含む空小鳥来る 小林 檀
水筒のからからと鳴る曼珠沙華
巾着に首の顕れ雁来る
子を抱きてコスモスの待つ我が家かな 珠 雪
産院を発つ母子前の稲刈り機
祖母の手やおろし金にて林檎の香
象潟やついに溢れるにわたずみ 五島高資
蛸壺の積まれて月に迫りたる
渋滞の先頭は枯尾花かな
原則として句稿到着順。原句のまま。
俳句スクエア集では、皆さんが投稿された俳句を月ごとに掲載致します。
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
平成17年11月号への〆切は平成17年10月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
次回の掲載は、平成17年10月末日頃を予定。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
注・上記以外のアドレスへの投稿は不可。
なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、
毎年度末刊行予定の年刊『俳句スクエア集』に
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