俳句スクエア集・平成17年10月号

通 巻 71 号



糸蒟蒻が何処かに挟まる日月よ            吾 狼
颱風過わが職階の尽きる位置
颱風の夜叩くキーの虚しき結語

朝虹や帆柱天を突くごとし              牛 若
ひまはりやまはれみぎしておじぎして
広島の叔父は百歳夾竹桃

向日葵やしばし方位を見失ふ             蓼
恋ボートきのふの淵よけふの瀬よ
こころてふ不思議な器官水中花

白南風の梢に届く奥駿河               銀 河
吊りしのぶ軒の深きは母の里
大の字に風わたりゆく夏座敷

遠花火幾重幾重の闇の河               youko oda
干されたる白シャツ鳥の影揺らぐ
風鈴が軒で意地張る午後3時

帷振り払ふ夢に疲れし糠蚊か             毬 月
進む道思ひ直して秋あふぎ
眺めては棚いつぱいに秋の夜

ほうたるの口説を聞かば死ぬもよし          服部一彦
絵日傘の二人鬼出る蛇が出る
核弾頭に艶布巾かけ夏惜しむ

夕闇に吾を定める秋の蝉               露 壜
川端に落果の朽ちる夕月夜
松虫やきらめくものは水たまり

見上げてる青朝顔のつるの先             花 夜
涼風をうけて湖畔で読む女
交差点働く蟻と避暑の蝶

不立文字鱗剥がせし風の盆              津山 類
含羞の翅を休めし秋あかね
戸の軋みガリレオなりし秋初月

恋ふるとは匂ふことかな百合の花           更 紗
志士像の立つ逆光の晩夏かな
疼きをる尻尾の記憶猫じやらし

脳検査前夜蛙と過ごしけり              原 清水
ある日きれいに蝉のやうに死にたし
何万頓水の行ゆきて稲の花

在ることのはかなき重さ遠花火            真矢ひろみ
駅の灯を送り火とせし宵の夢
駅の灯を送り火とせし宵の夢

星間を漂つてゐる桐一葉               石母田星人
口中に転がる地球水の秋
かなかなの満つる海王星を抱く

艮の地より帰る子盆の月               白露子
能を観る髪のウエーブ青蜻蛉
敗戦日たらひの泥鰌きゆと鳴きぬ

一陣の風入り来て汗奪ふ               斎田 茂
鼓笛来や身を翻す踊子草
ギヤマンの影の青さや水の音

羅の女真砂女の割烹着                斎田礼子
タンゴ舞ふ香水瓶のごと捩れ
落し文妹に獄中遺言状

儀杖兵が持つ迎え火の暗さかな            加藤昌一郎
輻射して孔雀が透ける原爆忌
空蝉の夜飛ぶという村眠る

青蚊帳のまんなかまで星満ちて            猿 人
向日葵や月のあかりに乱れけり
終戦日蟻はひたすら餌はこぶ

螢火のときおりわれにかえりたる           五島高資
カノープス沈むあたりの竹を伐る
駈けて来て玉と消えゆく逆の峰

                   原則として句稿到着順。原句のまま。


   俳句スクエア集では、皆さんが投稿された俳句を月ごとに掲載致します。

   投稿規定 :  資格は特になし。
         〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
         平成17年10月号への〆切は平成17年9月20日。
         投句数は、一人5句まで。
         掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
         掲載は、平成17年9月末日頃。
         投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
         注・上記以外のアドレスへの投稿は不可。
         なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。

         また、俳句スクエア集に掲載された作品は、
         毎年度末刊行予定の年刊『俳句スクエア集』に
         入集される予定です。
         なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
         俳句スクエア集に掲載された作品とします。

   俳句スクエア集・バックナンバー

 ご注意 : スクエア集係(squareshu@yahoo.co.jp)宛て以外への投句は無効です。また、掲載句の著作権は作者に存しますが、作者が「俳句スクエア」へ投句した時点より、出版権設定契約が成立し、掲載句の出版権は「俳句スクエア」に存することとします。


   俳句スクエア賞・同新人賞受賞者一覧

   俳句スクエア同人一覧


「俳句スクエア」トップページへ

E-mail haiku_square@yahoo.co.jp

Copyright (C) Takatoshi Gotoh 1998.3.1