通 巻 70号
遠泳の疲れのごとく眠り落つ 蓼
大ゆやけ補陀落舟に相乗りて
短夜や原初のことば灯るなり
夕焼けや四肢たしかむる獣の目 牛 若
籐寝椅子死にまねの唇濡れてゐし
蜘蛛の囲の幾重の奥の秘仏かな
フラミンゴ列はみ出して炎帝 毬 月
屋根裏の時計戻して未草
古本に電流走り秋黴雨
栗の花咲く木陰あり土蛙 珠 雪
色鯉の泳がぬ池や地震の村
鯉棲まぬ池に添いたり青あじさい
逆上がりしてまほろばを見る晩夏 山戸則江
預言書を枕にしたる三尺寝
風鈴や戦後生まれの人黙る
山手線から七月は燃えはじめ 加藤昌一郎
蛇目覚め天使の喇叭吐き出せり
変容する兵士と石と蟇
黒南風や起爆装置のピン外す 朝吹英和
荒梅雨や紫煙棚引く貴賓室
木の椅子に置かれし洋書クレマチス
空蝉や墓誌にて帰る遣唐使 露壜
ありし日の蒸気機関車山清水
おさな子のさげるあみかご子蟷螂
向日葵の後ろに隠る夕日かな 伊藤華将
天上に白布広げし闇の滝
鍵盤に十指の跳ねて花氷
ジーンズを足で脱ぐ夜や終戦日 猿 人
きのこ雲自由の女神つかみけり
終戦日朽ちた大砲薔薇咲けり
日月はいずれ行き着く苔清水 D.Michigami
鏡にも手にも傷あり少年老ゆ
陋屋や李白と共に酌む濁酒
人間を離れんとして立葵 服部一彦
おほいなる海が間近に梅雨晴れ間
わさび田に降り積むばかり晩夏光
クレヨンでぐいぐい描く青葉かな 斎田 茂
荒波の岩を削りて鑑真忌
掌にひよこ包みて聖五月
揚羽くぐりて山門の威丈高 斎田礼子
あえかなる早苗に風の渡りゆく
白髪増やして花柄に更衣
海ほたる夢の続きは砂の中 銀 河
ダムの虹山の彼方に山を観る
Stand by me 光る鉄路に遠い夏
光年や莢隠元豆に収斂す 石母田星人
山椒魚いま縄文にさしかかり
蒼朮を焼く贋作の像の前
半夏生眠れば湿気る吾の形 更 紗
黄昏の溢るるほどの枇杷熟るる
羅を纏ふ微風を取り込んで
沙羅の花夕べの雨を思ひけり 作田由加子
高らかに笑ふ父あり沙羅の花
さくらんぼ光の色にそまりけり
きのふの黒猫は居づ木下闇 原 清水
二人かな睡蓮の花閉ぢるまで
睡蓮のひとつ水より出でて咲く
連れて蚊とエレベーターは上昇す 白露子
形代の葦舟青く匂ひけり
店たたむ古書店ひそと日の盛り
炎暑の畑を鎮めたる水を汲む 石田桃江
うたた寝のたしかに青田風の波
ブラックベリーに蜜したたらす暑気払い
帚木を抱えて星に近づけり 五島高資
自らの影にひまわり戦けり
遅刻して南瓜の花は黄色かな
原則として句稿到着順。原句のまま。
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
平成17年9月号への〆切は平成17年8月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
俳句スクエア集に掲載された作品とします。
ご注意 : スクエア集係(squareshu@yahoo.co.jp)宛て以外への投句は無効です。また、掲載句の著作権は作者に存しますが、作者が「俳句スクエア」へ投句した時点より、出版権設定契約が成立し、掲載句の出版権は「俳句スクエア」に存することとします。
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Copyright (C) Takatoshi Gotoh 1998.3.1