俳句スクエア集・平成17年6月号

通巻68号



神様の知らない話青葉木菟              朝吹英和
青嵐デリートキーに触れてみる
フルートの軌跡に少女草矢射つ

さくらさくらここから始まる予感して         作田由加子
滝上る魚のやうな子猫かな
風光るまっただなかにニューヨーク

靴下の爪先の穴龍天に                君野蟠慈朗
胃検診自転公転春隣
恋猫や臆面もなく髯伸びる

葉風渓さんざめくウオーキング            銀河
モーニングカフェバーチャルの熱帯魚
吊り橋に瀬音高まる竹の秋

麺に置く卵すすりて仏生会              斎田 茂
利酒の尽きし酒蔵山笑ふ
春深む生命線の現在地

鯉の群左右に別れ卒業す               斎田礼子
咲き満つも散るも桜の夜を深め
ラマンチャの風車軋みて村春愁

へびいちごテニスボールにさわぐかな         牛若
牡丹やひと寄せつけぬ絵師の筆
牡丹や連理なすごと風のなか

りんりんと鳴る藤房よ歳をとる            服部一彦
学食のトレイひらひら菜種梅雨
西方に水に声して暮の春

どくだみの闇に十字の白さかな            伊藤華将
弥勒仏指にゆるりと夏立ちぬ
手捻りの重き湯呑へ新茶くむ

をちこちに養花天あり出発す             毬月
宵越しの手紙とをりし梨の花
前置きは前置きのまま春眠

草笛にふりむく犬のありにけり            露壜
産土の六百年の若葉風
麦の穂の上を黄色の帽子かな

病葉ももののけもあり水たまり            山戸則江
初夏の天をつんざくイルカショー
登る坂道下る坂道青葉風

何もないところでつまづく卒業日           猿人
燃え尽きるまでそのまま飛ぶ蛍
地球の目薬となりて五月雨

夏兆す朝のひかりのレールかな            白露子
揺蚊のひとつを乗せて湖畔発つ
句姿を変へるすべともサングラス

風鈴に心まかせて明日が来る             藤代真路
冷房の音にたよって居眠りす
暑気払い肩で押されて二日酔い

囚はれの月の石ある聖五月              更紗
あをあらし狐は陰を司り
鵺渡る闇の撓みや壬生狂言

個は個とし松は松とし花けぶる            原 清水
天辺の霞みていたり送電塔
大和霞む朝をトラック定期便

冥王の星海王の星夜店かな              加藤不吸
白蟻の眠る柱の空け易し
一匹の急ぐ蟻見て騒ぐ血あり

階段に魄の陰干し垂れてをり             真矢ひろみ
惜春のおとなしそうな路地に入る
路地深く結界結ぶ青嵐

草取りし指で触れゐし伊曾保かな           小林 檀
水が水押す力有り薔薇開く
山折りの山の裾野のひめじょおん

平和くるる空を見つけし芋の花            津山 類
車前草の花の影なり式子内
牡丹咲き襖はづせり宿おかみ

ゆつくりと雲の流れて春動く             節
くるくると寝返るややや寒戻る
窓の下五月つつじの咲き乱る

チューリップそのふくらみがマイナスと        花夜
ひまわりや占いは快調とあるけれど
新緑の少女は両手で車を包み

On a cloudy day
the wasteplace is bright:
dandelions                     Jack GalmitZ

The green mountains:
I laid down and had a dream
I was a cosmos

Pine candles:
no one there
to celebrate with

すずらんの鈴ききたくば花束に            石田桃江
芍薬の散る羽衣となりにけり
昇る日によろめく待宵草となる

脊髄をはしる曙光や山桜               石母田星人
仔馬跳ね宇宙に満つる微光かな
亀鳴くは如来の薬壺のなか

信号を待って菜の花咲きにけり            五島高資
花の雨ヘッドライトに墓光る
麦秋の時の間という広さかな

                          原則として句稿到着順。


   俳句スクエア集では、皆さんが投稿された俳句を月ごとに掲載致します。

   投稿規定 :  資格は特になし。
         〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
         平成17年7月号への〆切は平成17年6月20日。
         投句数は、一人5句まで。
         掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
         投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
         なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。

         また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
         年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
          なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
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