通巻65号
三月の底を突いたり祖父の杖 山戸則江
春暁のドーナツショップ無口なり
春浅しくぐもる車内アナウンス
シャガールに呼び戻されし目借時 毬 月
フラスコのおもはぬかたち薄氷や
振り向けば足音近しはうれんさう
阪神忌いつまで揺れる眼かな 猿 人
風花やポカリの缶の青きまま
夕東風の残っておりし靴の色
シロホンの木霊遥けし焼野かな 朝吹英和
凱旋の軍鼓遥かに春の水
シャッターの音ひそやかに春兆す
ふきのたうしあはせは億とほりある 蓼
ハンサムな声となりたる春の風邪
許すも許さないもない鳥雲に
節分の鬼の帰りを待ちにけり 露 壜
春風や地から空からリコーダー
春浅し壁を相手の球の音
初富士の前景として蕩児あり 服部一彦
五七五しまりたる句や江戸の春
メビウスの輪から顔出す冬木瘤
あうらから地から春はこぬか雨 原 清水
道しるべ多き明日香の春浅し
強東風のめくれる清張文庫本
木の陰に胸の膨らむ寒雀 節
春風に犬も早足野道かな
冬雲の赤く染まりて夕日かな
卍よりはじまる銀河涅槃西風 加藤昌一郎
桟橋は加速中なり紀元節
内陣の夜は千本の腕に花
本陣に一途に集い息白し 藤代真路
どうしても雑炊にある世界観
このごろの凍土少し皮膚呼吸
月までの距離測る式日脚伸ぶ 更 紗
大寒や舌に溶けゆくチョコレート
病む父と甘味分けあふ寒暮かな
山桜雨の中でうすく触れ 花 夜
二分桜マラソンコースの脇に咲き
二つ独楽まわるや盆でしわくちゃに
あおぞらのしんからさびし犬ふぐり 小林 檀
春の塵みづいろで書く音符かな
こでまりや消毒薬の白き壜
三月の待ち遠しくて雛飾る 珠 雪
切り餅を添えて荷造りバレンタイン
オニハソト乾いた部屋に豆の音
きさらぎは無何有がごと石の船 津山 類
牡蠣殻の声は近かり遠霞
なにもかも墨色なりし白い梅
燈しゐる地球を遠く白椿 石母田星人
掌に包みし宇宙木の芽晴
犬ふぐり時は非在と悟りけり
ぬばたまの新月に啼く鯨かな 白露子
幾万斤雪の深さの月夜かな
水温むとも忌の家の遠くあり
春光に百僧の前鳩歩む 伊藤華将
春しぐれ一燈つきし女人堂
頬染めて竹刀振る娘や春浅し
正座して箪笥を引きぬ黄水仙 沙 羅
海光にふくらむページ菜の花忌
つぎの世のあらばわが名をひなあられ
佐保姫の手を振りて待つ改札口 石田桃江
ふわふわに荒ぶる苔や冬の鳥
スクエアはわんだあらんど風光る
Into the shining
of the nodes upon the trees
I go gladly Jack Galmitz
Boys at the beach
the beauty of water
clings to each Jack Galmitz
Cherry blossom sprays
enter a life of service-
a vase of water Jack Galmitz
原則として句稿到着順。
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
平成17年4月号への〆切は平成17年3月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
俳句スクエア集に掲載された作品とします。
ご注意 : スクエア集係(squareshu@yahoo.co.jp)宛て以外への投句は無効です。また、掲載句の著作権は作者に存しますが、作者が「俳句スクエア」へ投句した時点より、出版権設定契約が成立し、掲載句の出版権は「俳句スクエア」に存することとします。
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Copyright (C) Takatoshi Gotoh 1998.3.1