通巻63号
一弦を弾(はじ)けばとどく冬銀河 ☆ 銀河
枯葉追うスクランブルの交差点
面打ちの鑿の光や冬萌える
噛み跡のそのまま残る去年今年 山戸則江
ターニングポイント覆う冬の霧
ゴイサギの孤高初空澄み渡る
短日の携帯のなかに空あらん ☆ 猿人
雪達磨すこし色づく乳首かな
羊水の鼓動をさぐる冬の夜
凍星の消えゆく数もありにけり 露 壜
銀舎利の黄金に染まるおじやかな
浅間嶺や真言下す空風
私より少し冷たい神無月 加藤昌一郎
ある夜来た皿の平目は友の顔
鮟鱇からまだ搾り出す星月夜
人参の甘さ色ある治療室 花 夜
熟し柿今にも地上銀嶺背に
じゃがいもやコロッケにしてじゃがにこり
途中から大白鳥となる時間 ☆ 石母田星人
億年の果へ光を放つ鶴
天穹は大白鳥を内包す
うなさかに紅葉狩して人と遇ふ ☆ 服部一彦
枯れ枝の収まりにくき一ト日かな
贋物と思へば光る冬の星
冬の入りややの寝顔にふと笑ひ 節
空高く煙伸びるや落ち葉焚き
教会の鐘の音響く冬の朝
木の葉髪大空が目を開けている ☆ 藤代真路
海鼠見て照れているのは誰かしら
大所帯三角形の日向ぼこ
をちこちに伸びる首あり初東雲 ☆ 毬 月
初昔なにごともなきたなごころ
たうとつに年改まる埴輪かな
冬日むさぼり番犬の裏返る ☆ 斎田 茂
登校や焚火の煙に列乱る
紅葉散り初め吊橋の揺れ止まず
大楠の四方を鎮めて神の旅 斎田礼子
牛の反芻つれづれの小春かな
冬帽子煤けて父の貌かたち
窯出しの耳朶に余熱や時雨来る 伊藤華将
虎落笛ふえの貌して鳴りおるや
老人の舟迎へ飛ぶ冬かもめ
葱一本ただ濡れている小道かな 中原寛也
十二月八日四つの冬芽かな
冬の芽や頭に重いものひとつ
冬の月闇にまどろむ榕樹かな 作田由加子
五島より句集の届く十二月
青白きトルソー翳る冬満月
冬椿月食の頃孕みけり 津山 類
平面図にぽっかりできる冬泉
冬日影マリオネットの海遥か
シンデレラ城仰ぐ現身着膨るる ☆ 更紗
マフラーを巻いて多角の荒野かな
爆走のこだまの渦に星流る
星生るる時かもしれぬ日記買ふ ☆ 小林 檀
陽だまりに沈みゆく船毛糸編む
テーブルに冬菜と星座早見盤
日を集め日に遠くあり石蕗の花 ☆ 真矢ひろみ
新宿の鷹のえぐりし虚空かな
柚子風呂の闇の中なりうつほ舟
首なきマリア観音風花す 白露子
月天心極まる宙を風花す
風花や斯く汝と吾は生きめやも
都は未完ほつれ目の寒鴉 沙羅
なかぞらの足場に舫ふ寒茜
あることとなきことおなじゆきもよひ
寒鴉まだ飛びもせず広辞苑 ☆ 服部一彦
沈む島離れて遠し砕氷船
冬雲の和泉山地の臑長き
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
平成17年2月号への〆切は平成17年1月20日。
投句数は、一人5句まで。
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投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
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