通巻62号
十五夜に穴ぼこ一つかがやけり 桜川こういち
MDに吸い込まれてく秋の音
太陽に引きずり込まれる秋の色
霧深しヘッドライトの軽く揺る ☆ 節子ジョンソン
坂道へ流れる如しススキの穂
啄木鳥の暁ごろに木を叩く
非常ベル鳴らし走って逃げた月 ☆ 山戸則江
モンブラン渦巻く石庭の中心
晩秋や逃れられないもの落ちる
短日の涙曇りの活字かな ☆ 露壜
無漏路への無窮の空や返り花
木枯の親展届く小窓かな
今年米低温貯蔵庫のハミング 君野蟠慈朗
稔り田の赤色多き農機かな
ひつじ穂の芯柔らかき緑かな
仏手柑聞けば宇宙になる途中 ☆ 石母田星人
日蝕のひびきを渉る秋の蝶
石庭の波より生れし秋の風
帽子飛ばしてのろのろと穴まどひ 斎田 茂
丸き背の刈田に伸びし影正す
秋うらら如来菩薩に地蔵尊
犀の耳くるりと冬を近づけり ☆ 斎田礼子
海の夢見てあざらしの小春かな
いく秋の木椅子に父の座りぐせ
彼岸花、石榴、母なるものは燃え ☆ 加藤昌一郎
音も無く咬みあっている芒かな
秋草の横顔に骨見えはじめ
年月やささらざざざと流れ帯 花夜
純な白染め師絹音に囲まれて
右の耳冷蔵庫の音追っている
時雨るるや睫の長き児を抱き 作田由加子
フルートの音に誘はれ文化の日
冬林檎赤子ぷるんと瞬きす
旧式の蛇口にかかる初時雨 ☆ 中原寛也
オキュパイド イワクニ寒い靴が鳴り
許されて図書館に立つ寒さかな
冬銀河あてなき人へメール打つ 銀河
寒の闇己が鼓動のひびくのみ
翼の灯が冬三日月を過り行く
ゆふづつや海鼠は砂を噛み眠る ☆ 白露子
月光や海鼠の万世一系図
艮の海鼠たりえず酒を酌む
天網を貫く鷹の高貴かな ☆ 真矢ひろみ
天網の影差すものに秋の水
一光年先行く秋の道をしへ
えんぴつのキャップの中にはねこがいる 小林こだん
とけいさんゆらゆらゆれておっこちた
おさいふがかばさんみたいになっている
つはぶきのつはを説明しかねたる 器楽
様々な災ひ鎮め冬きたる
紅葉濃き処に人の住まずあり
永遠に目醒めていたき冬銀河 ☆ 更紗
透けていく日毎の空や落ち葉掃く
虚と実の色照らしあふ夜の紅葉
山葡萄そぞろに空間すぼめけり ☆ 津山 類
冬いづみ山の向こうの魚の目
屋根屋根を塗る時間あり冬構え
ポッケトに電球枯野大股に 沙羅
母の世も藍はよき色銀河濃し
はちみつの香の黄落をマチス展
毛糸編む編んでほどきて雲を見る 小林 檀
山眠るたつぷりと壜煮てをりぬ
小雪のミルクに膜の張りはじむ
コンビニのライト重くて星月夜 藤代真路
朝露を鼻で覚えて熱静か
懐かしい未来感じる夕月夜
太虚に積木を崩す師走かな ☆ 毬月
輪郭と添ひ寝してをりラフランス
夕焼けを飲んで素知らぬ唐辛子
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
平成17年1月号への〆切は平成16年12月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
俳句スクエア集に掲載された作品とします。
ご注意 : スクエア集係(squareshu@yahoo.co.jp)宛て以外への投句は無効です。また、掲載句の著作権は作者に存しますが、作者が「俳句スクエア」へ投句した時点より、出版権設定契約が成立し、掲載句の出版権は「俳句スクエア」に存することとします。
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