秋冷の万華鏡までひとっ跳び ☆ 朝吹英和
新豆腐音符に色のなかりけり
正面に見据えし課題九月来る
秋の日の色鉛筆のたけくらべ ☆ 露壜
コスモスの畑に風はあふれけり
山越ゆる送電線や赤とんぼ
飛翔を想い高吟を想い章魚であり 加藤昌一郎
壺の中は玄黄にして章魚謦咳
章魚壺の中もあの世の虫時雨
野分けあとしんとして月ゆがむ 猿人
缶蹴りのチョークの跡や赤蜻蛉
枕辺に靴を揃へり運動会
利腕を振る返照の芒原 ☆ 石母田星人
刻の降る坤輿を支へゐる酸橘
石榴笑み周極星の失踪す
散華せで叢朽ちゆくや曼珠沙華 更紗
乙女座のけふの幸ひ鰯雲
夭折の画家の自画像花カンナ
くろがねの夜汽車とめたる百足かな ☆ 君野蟠慈朗
蟻の塔地下鉄路線増殖す
口上に俗な念ある花火かな
異星より零れて地の火狐花 白露子
辺土にも伸びしアンテナ曼珠沙華
日輪の使者とも野辺の狐花
風うなる晴天の秋倒れてる 花夜
月灯り蕎麦ようかんをはんぶんこ
冷凍のライチころがる台所
ルルドにてマリアのそばに福江蟹 白梅
しらさぎや二十羽丸く夕の田
サフィニアの咲きし古家は小の土
さまざまに人過ぎ風船かずらかな ☆ 沙羅
老犬のすぐ透き通る野分かな
ほの白き翳封筒より出でぬ
トンパ文字ひとつ教わる星月夜 ☆ えんやま福
こすもすの光集めて授乳の刻
告白が激白となる上り月
首細き壜に水満ち台風来 小林 檀
星の歌聴くため水の澄みにけり
小鳥来て木霊の動悸鎮まりぬ
読み終えし本の隙間の秋団扇 宏子
すじ雲と湧く雲のあり九月かな
帰るよと電話に汽笛秋彼岸
黒髪を次切るまでの曼珠沙華 ☆ 中原寛也
秋扇廊下に眠り風を聞く
風止みて赤瓶コスモス流れゆく
新聞紙破けてしまう秋の風 ☆ 藤代真路
探し物忘れてしまう夏の終
鈴虫の途切れた声と足の音
遙より赤い眼の魚秋の水 ☆ 服部一彦
湖の秋山号寺号もう忘る
月に暈最初の一人繭を出て
神隠しからひょっこりと烏瓜 ☆ 山戸則江
姓と名の隙間に落ちる木の実かな
彼岸花ありあまる自家中毒症
竜淵に縄文人の虫歯痕 ☆ 斎田 茂
万灯の怪しく燃えて峡の夜
賽銭の墨の薄れて秋の風
山のもの増えて小鳥の翳あまた 斎田礼子
少女期はるか秋の野のあれもこれも
檜丸ごと狛犬の眼の爽やか
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は原則として毎月20日、その翌月号に作品3句を掲載。
平成16年11月号への〆切は平成16年10月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
なお、必ず題名に「投句」と書いて下さい。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
俳句スクエア集に掲載された作品とします。
ご注意 : スクエア集係(squareshu@yahoo.co.jp)宛て以外への投句は無効です。また、掲載句の著作権は作者に存しますが、作者が「俳句スクエア」へ投句した時点より、出版権設定契約が成立し、掲載句の出版権は「俳句スクエア」に存することとします。
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