俳句スクエア集・平成16年8月号


黒揚羽去りマントルの上にゐる ☆         石母田星人
夏空が笑む眼窩こそ真の穴
昼深き鳩尾を行く海月かな

星空を三角に折る初蛍 ☆             猿人
炎帝や掬いあげてる観観覧車
戦争や黒い水のむ秋の蝶

少年の眼を満たす雲の峰 ☆            露壜
手をのばし入道雲をちぎりけり
蜜豆や隅田の風を掬いけり

まだ眼を開けている夏痩せの水溜り ☆       加藤昌一郎
白金の雲が教える喜見城
西日かな毀れた犬が時に鳴く

アメリカの湖に散り行く大花火           節子ジョンソン
夏風のさっと横切る赤き鳥
木の陰にピンク眩しき牡丹かな

噴水の力を借りて告白す              朝吹英和
夏の蝶深紅でありし乗馬服
噴水に背中打たれし夢見かな

滝の水思ひ切るときかぐわしき ☆         服部一彦
遊蕩の果ては夕べの巴旦杏
千の風吹き渡りけりほととぎす

心太人と人とに間あり               藤代真路
梅雨晴間二階の歯科の灯りをり
梅雨明けぬ猫が寝そべり顔洗う

星祭髯の剃り跡青々し               君野蟠慈朗
地に喧騒溢れ空には白き花
刹那なる合同コンパ水中花

碧眼の友タトゥーあり夏祭り            更紗
盲点のひとひら降りぬ黒揚羽
華やかな塵と置かれし笹飾り

星よりの水をたまはり夜濯ぎす ☆         小林 檀
外つ国の雨のにほひや紅はちす
海の日や貝のかたちの雲の生れ

教頭の中腰で見る金魚玉 ☆            宏子
水馬の雲にまたがり川下り
ジョン・レノン流れる店や巴里祭

屈折光を掬えば海月かたち成す           真矢ひろみ
白槿億万の悲を湛へけり
此の岸を発つ蛍火や闇の哭く

石仏の息聞き巡る新樹光 ☆            斎田 茂
全身の黒き癌絵馬薄暑かな
夏草や長篠合戦馬防柵

本陣の湯殿涼しき広さかな             斎田礼子
河骨の黄の昏らめば雨意きざす
里人は信玄贔屓青田かな

星祭大古書展の墨の文               白露子
星合の渚に流れつく小瓶
銀漢へのぼるユニコーン珊瑚礁

夏蝶の新大陸を目指したる             山戸則江
深淵を覗く夜もあり竈馬
人逝きてピカソの赤に似たカンナ

水底をさがす蹠雲の峰 ☆             沙羅
少年の奈落は空に捕虫網
朝風の青き裏うち花木槿

                  原則として句稿到着順。なお、☆は五島高資の推薦句。


   俳句スクエア集では、皆さんが投稿された俳句を月ごとに掲載致します。

   投稿規定 :  資格は特になし。
         〆切は毎月20日として、その翌月号に作品3句を掲載。
         平成16年9月号への〆切は平成16年8月20日。
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         掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
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         また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
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