一滴をためては滝の力とす ☆ 器楽
草原の風の出口に風鈴を
すずしさは肩ふるる時発せられ
噴水や吹き上げたらぬ空の色 猿人
海鳴りのような告白きいている
恋人を朝顔にしてながめている
花合歓は渾円球の頭脳かな ☆ 石母田星人
光年の闇より掴みだす牡丹
阿の口と丹田結ぶ卯波かな
やまぼふしきりきりしやんと介護車来る ☆ 服部一彦
現世の種なし枇杷と耄神
糸杉に星の耀ふ桜桃忌
焼酎を山の彼方の水で割る 露壜
闇の森背負いて立ちし鹿の子かな
かくれんぼ夕焼け空に見つけられ
山法師古りし鐘楼鐘を欠き 伊藤華将
額ずくは紋付き袴梅雨鯰
無造作にバケツ下げ来て初鰹
血の池や首に止まりし蚊を潰す 斎田 茂
鳥騒ぎやうやう田水張り始む
深山の木の葉艶めく緑雨かな
山あひの人も煙りて桐の花 ☆ 斎田礼子
肩よ膝よとみ仏に触れ涼し
雨重き茂り隠れに磨崖仏
滴りはわが魂さそう山の音 ☆ 真矢ひろみ
大空は大地の内なり田水沸く
胸内に巣くうものあり蛍よ
遍照光食む玲瓏や山の音 ☆ 加藤昌一郎
かたつむりの飢は詩情ごときものか
うな坂を来てあめふらし梅雨に遇う
甲虫死す資源ごみ回収日 ☆ 山戸則江
行き違いにてががんぼに生まれたる
門柱も尖塔も立ちカンナ燃ゆ
木漏れ日や水音高き鮎の宿 ☆ 朝吹英和
六本木ヒルズそのまま初蛍
小太鼓の少女の微笑梅雨晴間
たそがれの軽き頭痛や白あぢさゐ 小林 檀
薔薇の香の背中を押してゐたりけり
青梅雨の素焼きの鉢の重たかり
ねこぢやらしこねこねしててねこになる ☆ 小林こだん
こぶたのはなぶーってなるからぶーさんだ
さかなたちきれいなうみでおよいでる
長雨の山河鎮まり黴の花 更紗
草いきれ人いきれより帰り来ぬ
青梅雨に風運ばるる水屋口
雲海の底ひ山家に灯ともりて 白露子
たましひを山に残して夏の星
生享けし半夏の闇の奥の闇
汽車に乗り小さく揺れる竹婦人 花夜
恋してるみたいよソラン夏太陽
雨の間に飛び出し遊ぶピノキオは
半熟の卵崩れる梅雨の中 ☆ 藤代真路
梅雨寒や子が親の手を握りしめ
黴生えて診察券を探し出す
この星に水汲むしごと泉鳴る 沙羅
夏木立じゃんけん響く虚空より
空は瑠璃早桃はナイフよりすする
夏の月おかれしままの腕時計 作田由加子
少年や手に一束の踊子草
綿毛飛ぶ蔵王山麓蝉の声
この場所はいつもこの場所夏薊 毬月
夕顔に顔近寄せて恋近し
とりたてて悩み事なき扇かな
紫陽花の身になってギザギザの時間 ☆ 宇都宮南山
二胡を弾く女素足の指立てて
メドウサの蛇の衣らの口開けて
蛍火のアンタレスとなりにけり 桜川こういち
右左悩みつづける五月闇
黒南風や車内に溢れるポップソング
原則として句稿到着順。なお、☆は五島高資の推薦句。
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は毎月20日として、その翌月号に作品3句を掲載。
平成16年8月号への〆切は平成16年7月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
俳句スクエア集に掲載された作品とします。
ご注意 : スクエア集係(squareshu@yahoo.co.jp)宛て以外への投句は無効です。また、掲載句の著作権は作者に存しますが、作者が「俳句スクエア」へ投句した時点より、出版権設定契約が成立し、掲載句の出版権は「俳句スクエア」に存することとします。
E-mail haiku_square@yahoo.co.jp
Copyright (C) Takatoshi Gotoh 1998.3.1