陽炎のみなもとにある犀の角 ☆ 石母田星人
幻日へ山気を運ぶがうなかな
菜の花や羽化の始まる水の星
蛍火や一期は夢よただ狂え 猿人
短日や人間らしくやりたいな
さくらんぼ甘い言葉がたりません
船乗りが真珠差し出す夏木立 ☆ 服部一彦
射干玉の夜を割り素馨と黒巻毛
散る薔薇の秋波に遭ふ微風かな
神体を岩に涼しく祀りたる 斎田 茂
木の椅子や男のどけきハーモニカ
葺替への人の落ちさう遠伊吹
大仏の肩の高さに新樹光 斎田礼子
磧石ぴょんと少女の光ゲうらら
からかさを干して女の翳薄暑
虹霓を飼う金魚玉孕むべし 加藤昌一郎
蛭子去り沖には鰐が島を成す
闇に咲く黒き牡丹の長谷を恋う
蜂蜜の混ざらない音ついりかな ☆ 毬月
背表紙の背丈揃えて夏の星
裏口で悪口吐ひて七変化
石けんの匂ひ残して五月来る 伊藤華将
夏めくや歩行天国飴細工
地下鉄の座席の帽子つくしんぼ
立夏たりユニクロに立つ父の霊 ☆ 真矢ひろみ
薄化粧の兄引きこもる修司の忌
父ひとりリビングにゐる五月闇
マドンナと呼ばれてはにかむミニトマト 花夜
隣り合う車中の無言絹てぶくろ
右側そっとやあなたはクイーンマーガレット
麦秋やノブの指紋を拭きにけり ☆ 津山 類
椿落ち空白の手をみたしけり
足元に蛭がゐるなり聖五月
ままごとのひかりの広間夏つばめ ☆ 沙羅
置き去りし母へ千たび虹生れよ
空の水位すこしずつ濃くプール張る
つばめつばめ濁らぬ空を見てきたか ☆ 小林 檀
西からの手紙届く日薔薇匂ふ
黒揚羽引力重力振り切りぬ
箱庭やしまひ忘れし月の影 ☆ 白露子
現しみのラスコリニコフの白夜かな
獏眠る白夜の街にさまよひき
染卵籠に並べてイースター 節
手で包むコーヒーマッグや花の冷え
真っ白に小池を埋めるや花筏
ぼんやりがほうほうと鳴る梅雨の朝 ☆ 藤代真路
網膜で眠ってしまう夏の月
二階より見ゆる青葉の雨ながれ
青梅をかじれば風の青さかな 露壜
サイダーの王冠あの日金バッヂ
王様はまだ決まらずや青蛙
万緑やガンジス流れるポップチューン 桜川こういち
薫風や青空に足ふみいれて
大空を四角に切りとる夏初め
原則として句稿到着順。なお、☆は五島高資の推薦句。
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は毎月20日として、その翌月号に作品3句を掲載。
平成16年7月号への〆切は平成16年6月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
俳句スクエア集に掲載された作品とします。
ご注意 : スクエア集係(squareshu@yahoo.co.jp)宛て以外への投句は無効です。また、掲載句の著作権は作者に存しますが、作者が「俳句スクエア」へ投句した時点より、出版権設定契約が成立し、掲載句の出版権は「俳句スクエア」に存することとします。
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Copyright (C) Takatoshi Gotoh 1998.3.1