菜の花の呟きピアノピアニシモ 朝吹英和
遺伝子の記憶の底に春の水
雲梯に下がる道化師犬ふぐり
ひとひらの桜とともに夢醒めぬ 露壜
幽界へ続く夜空の花篝
淡雪や背戸の蕾の赤々と
見上ぐれば船の行き交ふ花の空 ☆ 服部一彦
花の塔扉閉めても護摩匂ふ
一本の河津桜の海の駅
花弁のお守りを買ふ朧かな 作田由加子
月山を越えて花見に行く日かな
名も知らず摘みて帰りし菫草
花吹雪円周率を口ずさむ 猿人
透き通るガスの炎や桜狩
見上げれば空に逃げゆく花吹雪
菩薩をば家に連れ込む花明り 津山 類
春の塵不作法を謝す魚かな
葛餅の透明かげん蜜かげん
薔薇のようと褒められている椿かな ☆ 加藤昌一郎
土筆生うクローン仏も何気なく
結界に花食む僧と花を食む
図書館のハ行の書棚鳥雲に ☆ 伊藤華将
桜満開ジグソーパズル出来上がる
ゆらりつら轆轤に座る弥生かな
鐘楼の静寂に吊らる朧かな 斎田 茂
雪洞の朱染めの城や花筵
椿満々招かれて庭の中
蒼天を恋ひて桜と亀の首 ☆ 斎田礼子
飛花落花雨を淋しむ筵かな
椿見に来よ紅椿白椿
花明り明りとなりしはかなさよ ☆ 藤代真路
心中をありありと見る櫻かな
一昨年の葉桜にまた会いに行く
星空に咲きほころぶや紫木蓮 節
街の灯をゆらゆら揺らし春の川
染め卵籠に並べし春の雪
行く春やへゴの吐息を浴びてをり 小林 檀
道化師の無口なりけり黄水仙
くるくると回る遊びや初燕
春月や堕ちるものみな縁取らる ☆ 真矢ひろみ
生者亡者みな臥しゐたり花筵
花透くや母胎の中のうすあかり
ひらひらとりぼんかがやくうみのむこう 小林こだん
あめにもまけないかぜにもまけないいろんなこといっぱい
よわがりはへんだぞへんだぞなんにもない
振り返る空は今でも鼓草 毬月
帰るとも帰らないとも心太
夏帽子挨拶忘れ母見上げ
壱年のハレとケ放ち櫻咲く 更紗
春色の裄丈巾を吊るしけり
写真には未だ満開の桜かな
精神を満たすは言葉さくら酒 花夜
ある朝にすっと往きたる父土筆
雪やなぎ義母がすするやミルク飯
山降る神の樅の木胡蝶かな 白露子
残雪の光る連嶺おんばしら
神となる樅を渡せり雪解川
なまぬるき春暁を脱ぐ大鎧 ☆ 石母田星人
白梅が扉を開く真昼かな
わたくしの体に棲むと云ふ桜
立たすごと喪服吊りをりさくらの夜 沙羅
逸したるものポケットに罌粟の種
安達太良と不意につながる青嵐
原則として句稿到着順。なお、☆は五島高資の推薦句。
投稿規定 : 資格は特になし。
〆切は毎月20日として、その翌月号に作品3句を掲載。
平成16年6月号への〆切は平成16年5月20日。
投句数は、一人5句まで。
掲載の可否は、「俳句スクエア」編集部に一任。
投句は、俳句スクエア編集部・スクエア集係 へ。
また、俳句スクエア集に掲載された作品は、毎年度末刊行予定の
年刊『俳句スクエア集』に入集される予定です。
なお、俳句スクエア賞・同新人賞への応募作品の過半数は
俳句スクエア集に掲載された作品とします。
ご注意 : スクエア集係(squareshu@yahoo.co.jp)宛て以外への投句は無効です。また、掲載句の著作権は作者に存しますが、作者が「俳句スクエア」へ投句した時点より、出版権設定契約が成立し、掲載句の出版権は「俳句スクエア」に存することとします。
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