俳句スクエア集・2004年1月号


樹氷離れむ君の手を掴む ☆          轟 俊
時雨忌や桜田門を潜りける
白鳥の時雨心地や堀に棲む

方丈に足袋半睡の白さかな ☆         服部一彦
近き日も遠き日も去り寒に耐ふ
十一月祝詞とおもふ独り言

星屑を入れる篭あり樅に雪 ☆         津山 類
青写真一線入れるユリカモメ
火吹竹狼の赤目濡らせけり

ゆったりと進む雲なり枯木立          露 壜
路地の角分身あまた冬の月
群れとなりまた逸れる雲や竜の玉

ゴンドラにベニスの商人冬三日月        伊藤華将
落ち着かぬ11月の寒暖計
姿身の鏡の裏の落葉かな

爆心地片肺さする懐手             藤代真路
ビル間から山々深き張力なり
痛ましい右腕に咲くポインセチア

紛れなき不在証明龍の玉 ☆          朝吹英和
声明の左脳に沁みる霜夜かな
影長きパントマイムや冬の水

冬の蝶影に遅れてよぎりけり ☆        石母田星人
一塊の枯葛に語彙籠りゐる
黒海鼠三世を辿る重さかな

マンモスは解凍中ぞ去年今年 ☆        加藤昌一郎
湯気立てて因数分解年忘れ
三猿の手話死後のこと鬼火のこと

凍鶴や争ひ絶えぬ水の星            白露子
雪はげし天の呪文の如激し
金色の立体曼荼羅去年今年

戻るべき寒灯百窓にまぎれをり ☆       沙 羅
極月やタオルに日々のデスマスク
溶けてゆく思惟柚子湯に半跏趺坐

極月の金貨の裏の女神かな            小林 檀
真新し靴下飾りクリスマス
おほどかに腹の鳴りたる明の春

山眠りランプのごとく月が居り ☆       猿 人
楽しみはしずかにつもれ雪の声
言いたくて言いだしかねて蜜柑むく

南天や冬の空間にぐんとあり          花 夜
初蝶やかくれて休む岩のかげ
朝見れば野沢菜おおう初の雪

冬景色夫には囲碁あり妻には妻の        白 梅
漬物の共同作業に歯車かたり
空ながむ星はまたたきただ光り

大好きな声に触れてる冬の暮          桜川こういち
影一つ二つ三つと日向ぼこ
突き抜けるメロディーライン冬の雲

                  原則として句稿到着順。なお、☆は五島高資の推薦句。


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